感想:会社の目的は利益じゃない ―――誰もやらない「いちばん大切なことを大切にする経営」とは
2024/10/25
著者:横田英毅
★★★★☆
「あなたにとって一番大切なものはなんですか?」
「その大切なもののために、今何をしていますか?」
本書の出だしで、この問いに著者が答える形で、社員第一優先の経営を説いている。この問いだけで自己啓発本が書けそう。家族?お金?趣味?・・・残念だけど、僕はすぐには答えられなかったし、今も明確には答えられない。人生における目的を見つけられていない。目標はいっぱいあるんだけどね。資本主義社会なんだから、資本家になりたいよね、ってね。民主主義でもあるからやっぱり政治家もいいものなんだろうな、性格的に合わないから却下だが。
この手の理想論を言う本は多いんだけど、社員に任せて、社員にやりがいと感じ、仕事を通じて幸せになってもらう、そうするにはどうすればいいか?例えば、テレワークをやる気がない社員がすると間違いなくさぼってしまう。でも仕事にやりがいを感じている人なら、多分上司の目がなくてもめきめき仕事をするだろう。後者にするにはどうすればいいだろうか?優秀な人(やりがいをもって働けそうな人)を雇う?社員を教育する?その両方が必要だ。そこが肝だからこそ、10年間現場にたって、そこを実施したそうな。本書を読んでいて、いたるところで、著者が仕事ができることがうかがえる。問題に対して原因を追究し、それ解決していくアプローチが染みついている感じ。それを自分の理想の経営のために行動して今の会社を作り上げていったところがリアルに伝わってくる。
本書の内容とは少しズレるが、「お客様に満足してもらうなのではなく、感動してもらう」をという表現がある。”満足”ではなく”感動”。満足はその場限りだが、感動は長く記憶にとどまる。だから車の更新時にまた弊社を選んでいただける。すごい筋が通っている。本当に大人になると感動できることが激減するし、夢中になれることも減る。
そんな思いで、 私はネッツトヨタ南国を経営してきました。最初のころは採用が思うようにいかず、人財確保には苦戦もしました。しかし、私が恵まれていたと思うのは、カーディーラーが不人気業種だったことでした。 だからこそ、処遇に惹かれる人ではなく、やりがいに惹かれる人に入社してもらうことができました。
最後の後書きの引用。成功の裏には運がよかったことがあったような感じの書きぶりだが、運は待っててもやってくるわけではなく、常にアンテナを張って行動し続けた結果、運が良かったという結論に至るいい例。
内容的には星4なんだけど、自分の今にとって意味あるものかというとそうではないのでフラットな星3。まあ残念だけど、大企業では本内容は実践不可能なんだよね。大企業の組織の硬直性はどうしようもない、それがなくなると大企業じゃないからね。イノベーションに対して沈みゆくと分かっていても沈むしかないのが大企業であり、日本。
やっぱり内容はいいので星4。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
関連記事
-
感想:「居場所がない」人たち: 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論
著者:荒川 和久 ★★★★☆ 8月頃に読んでて別につまんなくはなかったんだけお、 …
-
感想:ルームシェア(小説)
気づいたら研究室に置いてあって,誰が持ってきたのか未だに謎な本書。せっかくなんで …
-
感想:最強脳
★★☆☆☆ Amazonレビューで運動が脳にいいというのを見つけて。スマホ脳の著 …
-
感想:嘘をもうひとつだけ
著者:東野 圭吾 ★★★☆☆ ブックオフで目に止まって,久々に東野圭吾を読みたく …
-
『いつでも心理学「クセ」や「しぐさ」から、本音を読み解く!!』-読んでも心理学は全然わからない
期待はずれな作品であった。”Amazonの内容紹介が長い本はハズレ”ということが …
-
感想:殺意の水音
著者:大石圭 ★★★☆☆ 久々の角川ホラー。本って意外と高いし,本屋で買うなら新 …
-
感想:女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法
著者:美達 大和、山村サヤカ、ヒロキ ★★★☆☆ ずばり、中学生・高校生向けの自 …
-
感想:幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと 若き外科医が見つめた「いのち」の現場三百六十五日
著者:中山 祐次郎 ★★★☆☆ タイトルが長い…。内容はなんか個人ブログをまとめ …
-
感想:星を編む
著者:凪良 ゆう ★★★★☆ 読んでから2ヵ月も経って感想忘れちゃった。「汝、星 …
-
感想:日本人というリスク
著者:橘玲 ★★★★☆ 橘氏の2冊目の本。1冊目の臆病者の株式投資入門を読んで …
- PREV
- 感想:凍りのくじら
- NEXT
- 感想:世界でいちばん透きとおった物語