感想:下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)
★★☆☆☆
下流老人とは、生活保護相当で暮らす高齢者のこと、と著者は定義している。そして、みんなが下流老人になる可能性があると警鐘しているのが本書。貧困や格差社会、世代間格差など、聞くようになって久しい言葉が多い。それらの中で、本書は高齢者の貧困に焦点を当てている。
普通にそういった現実を知れるルポを期待して読んだのだが、結果は、全然違った。著者の主張があまりにも社会主義的なものに偏りすぎていて、下流老人になるのは自己責任ではなく、国の制度や保障が悪い。生活保護をもらうことに引け目を感じることはなく、積極的にもらおう。といった感じであった。この本を素直に読むと、若い時は適当にすごし、高齢者になったら生活保護をもらって暮らせばいいじゃん?お金?お金持ちから集めればいいんだよ。といったとらえたかしか僕はできず、不快感しか抱かなかった。偏った対策を書くぐらいであれば、何もかかず、現状を真摯に伝えるルポにすべきであったと思う。
皆が下流老人になる可能性があるとして、現実にあったケースを紹介しているが、極端すぎる例が多い。数千万の貯金がある人が、たびたび重い病気にかかり、高額医療保障制度を知らず数年で貯金が底をつきる。900万のお墓をかったりしたり、その他予想外の出費が続き、同じく数年で貯金が尽きる。また、熟年離婚され、年金額が半分になり、一人での生活能力が乏しい(料理洗濯などの家事がまったくできない)ので生活費がかさみ破産する。
といった具合に、明らかに自己責任の部分があることは間違いない。無知であったり、無計画であったり、生活を改善させる気がなかったりと。個人的に大人になってから起こるこういった貧困は自己責任であり、甘えの結果にしか思えない。対照的なものに最貧困女子にでてくるケースがあるが、あちらは少女で、まともに教育すら受けられる環境にないことがしばしばあり、こういった人こそが国によって救済されるべきだと強く思う。
まだまだ、自分と意見の違う人は受け入れられないなぁ。あと自分の意見も偏っているなとはいつも思うし…。
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