感想:ルポ中年童貞
★★★★☆
中年童貞の現状をルポした作品と思っていたら,少々違った印象を受けた。
そもそもこの本を書いたきっかけが,著者が経営していた介護施設にいる,トラブル男性が,中年童貞で,中年童貞=社会常識のなく,周りに迷惑しかかけない存在,という著者の勝手な押し付けを感じる。確かにそういった男性が童貞であることは間違いないが,逆は100%は成り立たない。タイトルで読者を惹きつけたい思惑もあったのではないかと思われる。
著者の経験談から来るものなので,この男性が登場する章の話は個人的な感情も出て辛辣なものであった。他の登場人物に関しては,興味深かった。だいたいは予想できることが多いが,その中でも新たな発見はある。
特に,コミュニケーション障害の高学歴の中年童貞の章では,心に刺さるものがあった。私自身がまさしく該当する。一昔前までは,こういった人は,普通に大企業の正社員となれ,見合い結婚できたというのに。今は全てが自由競争を強いられ,弱者は生きていけない。
個人的に,35~40の未婚男性が,45歳までに結婚する確率が3%というデータに衝撃を受けた。あと,30代40代の婚活パーティ市場の競争の厳しさにも。コミュニケーションに問題がある人がいったら,心に傷を負うだけだからやめとけって書かれていたが…行ってみたい好奇心はある。
最後に,色々なパターンの中年童貞が紹介されていたが,1人だけ,中年童貞から脱出間近であることが述べられていた。なぜ脱出できたのか様々な要因があるだろうが,個人的に,1ヶ月のうち25日読書できるような人間であったからだと思う。他の男性と同様に歪んだ考えや性格だったが,立ち直れたのには,読書による客観性の取入れがあったからではないのかな。と,意識的に読書している自分を肯定したかっただけだが。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
関連記事
-
-
感想:仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか
著者:筒井 淳也 ★★★★☆ 同著の感想:結婚と家族のこれから~共働き社会の限界 …
-
-
感想:ロジカル・シンキング (Best solution)
著者:照屋 華子、岡田 恵子 ★★★☆☆ 特に新しい学びはないと思いつつも、やっ …
-
-
感想:アルジャーノンに花束を
著者:ダニエル キイス訳:小尾 芙佐 ★★★★★ 文句なしの名作だった。60年代 …
-
-
感想:会社の目的は利益じゃない ―――誰もやらない「いちばん大切なことを大切にする経営」とは
著者:横田英毅 ★★★★☆ 「あなたにとって一番大切なものはなんですか?」 「そ …
-
-
感想:ケトン体が人類を救う~糖質制限でなぜ健康になるのか~
著者:宗田 哲男 ★★★★☆ 前回読んだ糖質制限関係の本が面白くて、もう少し情報 …
-
-
感想:西の魔女が死んだ
著者:梨木 香歩 ★★★★☆ ”魔女”って言葉がタイトルに入ってたのでSFかなと …
-
-
感想:探偵の探偵(小説)
2015年7月から北川景子主演でドラマ化されることを,読み終えてから気づきました …
-
-
感想:マネーロンダリング(経済小説)
著者:橘 玲 ★★★★☆ 経済小説+推理小説。という一風変わった感じ。なにわ金融 …
-
-
感想:日本人の9割が知らない遺伝の真実
著者:安藤 寿康 ★★★★☆ 橘氏の「言ってはいけない 残酷すぎる真実」のヒット …
-
-
感想:若い読者のための宗教史
著者:リチャード・ホロウェイ ★★★☆☆ 久々の読書。どうしても家で読む気が起き …
Comment
全てにおいて受動的。そんな人間と見合い結婚させれられる女性の気持ちは一切考えない。だから童貞。
鏡見てみな