『東大名物教授がゼミで教えている人生で大切なこと』はわからなかったが,得るものはあった
著者である伊藤元重さんはWBSにコメンテーターとして招かれていたため知っていました。そのため,本の内容にすごく惹かれたわけではないですが,買って読みたくなりました。
マーケティングの世界では,情報としてのストーリーの重要性がしばしば強調される。人々は商品そのものの性質だけでなく,その背後にあるストーリーに関心を持つものである。ストーリーやそこに登場する人物がその商品の魅力を増してくれる。
本書にちらっとこんなことが書かれていましたが,まさにこの理論の通りだと身をもって実感しました。マーケティングって面白いですね。本の内容の本筋とはずれますが,学ぶことは多い,知らないことは多いと実感させられますね。
さて,タイトルが『東大名物教授がゼミで教えている人生で大切なこと』となっている本書ですが,”人生で大切なこと”は書かれていないといった印象でした。主に著者の職業である経済学者(東大教授)になるために仕事に関して必要なことかなと。
また内容は,よくある自己啓発本の類ではなく,経済学者”伊藤元重”の自伝といったほうがしっくりきますね。
他の本を読んでも言えることですが,やはり成功者の特徴としては,インプット・アウトプットの多さが挙げられると本書を読んでも思いました。
”本が大好きなことと,現場に足を運び,様々な人との交流や議論によって刺激を受け,自分の考えを洗練できる。”
このことに集約されているかなっていう印象でした。
以下,メモ
第一章「読む」「書く」「話す」力を鍛える。
研究の秘訣は,本や資料の読み方にあると思う。これはと思う本や資料をじっくりと読む。そして重要だと思うところにはアンダーラインを引いておく。さらに気が付いたこと,疑問などがあったら,欄外に手書きでよいのでメモをしておく。一冊読み終われば,今度はそのアンダーラインをした内容や自分の書いたメモを,シングルスペース(つまり行間を開けないでという意味で)でタイプする。ある程度メモがたまると,メモの中の重要なものをメモしていく…繰り返していけば,一冊の本を書く準備が完了する。
メモを書くことで自分の考えの整理につながる。メモを必ずしも整理整頓し見直す必要はない。メモを書くこと自体が目的
でもやっぱり見直したい→ipad
原稿を書くというアウトプットこそ,実は最良のインプットでもあるということだ。より深くかつ広い理解についながる。苦労して自分の言葉で表現すると内容が自分の血や肉となり上手に話せるようになる。
他人の論文の英語を真似することが,よい英文の論文を書く最短の方法であるといわれた。
第二章 発想力を鍛える
読む→書く→話す
知識の習得→自分の考えをまとめて発表→ディスカッション・人との相互作用
第三章 効率を上げ,仕事の質を高める
分散でのリスク回避,お金でも研究でも。
特にお金に関しては,デフレなら貯金のみでも結果的に問題ないが,インフレが起きると,貯金の資産価値が下がるということ。貯金すら資産管理でのリスク回避における1つの分散先であるという考え方。
シナジー
一般社会での経済の議論に対して,経済学の専門的知見から
または,日本の新聞だけではなく,海外の新聞読むことにより,違った視点を得ることができる。
みんなが同じソース(新聞やテレビ)からしか情報を得ていないと,同じ論調ばかりになり議論にならない。
合理的な未来の自分 と 衝動に走りやすい現在の自分
ダイエットに関して。ルールを決める(食事をご飯1杯しか食べない)。明日はないと思う(たとえば,ケーキが目の前にあって,今日食べて明日からダイエットするでは,明日も食べてしまう)。
コミットメント 原則 ルール
第4章 現場からめいっぱい学ぶ
専門家とともにいく。現場の担当者は,自分の現場の優れているところをアピールする。効率がいい。理解が深まる。
”プロから直接話を聞くことは,最高の情報収集である。自分の頭を鍛えることにもつながる。しかし,プロの議論を鵜呑みにしてはいけない。自分の直感や疑問を大切にしなくてはいけない。プロがむきになって「素人はわかっていない」というときこそ,プロにも見えていない大きな変化が起きている可能性があるのだ。”
第五章 ロールモデルを探せ―私の20~30歳代
学校での,刺激・競争。先生よりも刺激を受ける・競争しあえる友人(ロールモデル)がいることのほうが大切な場面が多々ある。
短距離頭脳と長距離頭脳
短距離頭脳だと考える私は,読書では,本を一冊をじっくり読むタイプではなく,何冊も同時に読むタイプだ。最後まで読みきらない本のほうが多い。
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