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感想:結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~

   

結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書)著者:筒井 淳也

★★★★☆

いい本はあるもんだ。社会学?的に見た家族というものの考察。女性活躍社会、1億総活躍社会の目標が掲げられ、いちサラリーマンとして会社も大きく舵取りしているのを実感するが、裏を返せば共働き家族が増え、それに対する施策やケアはあまり聞かないと思った。今の流れでは回避できない共働きというものを、仕事の観点からではなくプライベートな家族という枠から見た考察がなされている。

家族というもののタテ(歴史)とヨコ(欧米との比較)からも考察されていて参考になった。特にこれまでの日本の家族の歴史からみると面白く、

ただ著者の理想とする親密な関係が分かりづらく、実現方法もいまいちわからなかった。多分僕の読みが甘いのだろうけども。

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共働き家族における家事分担の最善策は?

共働き家庭における、家事の分担の不公平は誰しもが耳にしていると思う。本書では単純な夫婦での分担だけでなく、家事という家庭内での無償労働としてもう少し枠を広げてとらえて、分担するだけでなく、労働としてどう処理していっていいのかまで深く考察されている。

食事の後片付け、日用品の買い物、掃除、洗濯といった代表的な家事について、一日の平均の妻の労働時間が夫のそれと比べて1時間長くなると、一週間あたりの家事の頻度の夫婦差が0・05〜0・08回ほど縮まる、というものでした。たとえば、夫が仕事時間を減らす、妻が働きに出るなどの理由で、夫婦の仕事時間の差が1時間縮まったとします。すると、食事の後片付けを夫が週あたり0・07回余計にやるようになる(あるいは妻がその頻度を0・07回減らす)、という平均的な動きが見られた

収入の差については、私が分析した限りでは、影響がありませんでした。つまり、夫がすべて稼いでいる状態から、稼ぎの額が夫婦同じである状態まで妻が稼ぐようになっても、平均的には夫婦間の分担はあまり変わらなかったのです。

共働き海底の家事分担の現実としては、やはり、妻に圧倒的に負担がかかっていて、その理由に夫のほうが忙しいや稼ぎがいいなどが言われると思うが、実際のデータで見ると、両方ともほとんど影響がないらしい。

そういった物理的な問題ではなく、社会全体に女性が家事をするという価値観が残っていたり、その他もろもろの複雑な感情面のものが多いみたい。

女性の社会進出が進んでいるアメリカでもはやり女性の方がやや負担は多く。ある程度は仕方ないみたいだけど、日本のそれは本当にひどいものだった。(棒グラフ引用しづらいので・・・1日当たり、日本男性0.26時間、女性1.58時間、アメリカ男性0.89時間、女性1.65時間。あれ?これだけ見ると、日本のほうが火事に対して時間節約できているだけの結果に見えなくもないが、まあ日本人男性は家事に非協力的ね・・・)

 

共働きは格差社会を加速させる?

あまりこの点は考えていなかったのだけど、考えてみれば当たり前かもしれない。人間というものは同じ価値観や同じ年収同じ宗教など、自分と似た人と結婚しやすい傾向があるらしく、これを同類婚をという。確かに感覚的に理解できる。収入に関しても同類婚は起きると考えると、単純に格差が2倍に広がることになる。

どっかのブログで誰かが言っていたが、(貧困層の?)将来像としては、夫婦の結婚ではなく、複数の集団でのルームシェアみたいなものが主流になるのかもしれない。子供というものを持ち出すと難しいが。子供が不必要な間違いなく最善策の1つだろう。

 

 - 読書

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