感想:コンビニ人間 – 皆そんなに息苦しく生きているのか
★★★★☆
すごく読みたかったけど、小説を単行本価格で買うのに抵抗あって買えなかった。そんな中Kindleセールのおかげで半額の文庫本価格で読めるとかKidleさん流石です…。
感想はテーマが面白い。「普通に」就職し、結婚し、子供を育てる、そんな「普通」でないと社会から排除されようとしてしまう。普通のあちら側と、その普通と比べると異質なこちら側の主人公。そんな主人公でも、コンビニ店員という枠の中では、普通でいれて、居場所を見つけられ、満足感をもえられていることに気付く。ヲチがないとか救いがないとかいう感想も見かけたが、主人公は一番大切な幸せなものを見つけられたと僕は心から思うけどね。その他にも、小鳥が死んでいるのを見ても普通と思えなかったりと、まあ普通という定義はすごく広くされている。
「普通」って言葉って面白いと思う。平均的とか多数派とかって言葉にも置き換えられるのかな。
Amazonレビューの感想を眺めていると、共感できたというコメントが多い。共感ということは、読者も少なからず自分のことを「普通」でないと考えていること。ただ、本書の主人公の「普通」でなさは小説的面白みも出すためかサイコパスや精神病を疑われるレベルである。流石にそこまで同じでないと勝手に考えると、この共感というのは、「普通」でない自分を認めて欲しいのか、それとも「普通」から抜け出したいとも考えられるのかな。
このテーマをよく考えると、少し前に流行した「アナと雪の女王」を思い出した。あれのキャッチコピー的なのは「ありのままの自分で」であったはずである。アナ雪とコンビニ人間のヒットから、最近のトレンドというものを感じ取れる。
そういえば、KYという言葉も流行った過去があった。
なんだかんだ、みんな生きづらさを感じて生きているのかも。自分の一番近い人である彼女を見てもそんな一面を感じる時もあるなぁと。
その点、僕は、普通の社会性という獲得できなかったばかりに、それなりに自由に楽しく生きられているとは思う。有名大学に進学し、それなりの企業に就職し、とまあ外見上は順風満帆な人生を歩んでいるから許されるんだろうな。
結局、この世の中は昔から力や権力が全てだとい事実に行き着きますね。昔は力だけだったけど、今はスポーツでも勉強でもなんでも1つ社会的に認められているものがそれなりに秀でているだけでその他をすべてカバーできるだけの文化はあると思うので、何か1つでも身に着けたほうがいいよねと今になって切実に思う。
ただ、白羽のキャラが際立ちすぎていて、読んでいて不快感は拭えなかった。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
関連記事
-
-
感想:永遠の旅行者(上)
著者:橘 玲 ★★☆☆☆ 同著者のマネーロンダリングを読んでから読むとかなり微妙 …
-
-
感想:殺戮にいたる病
著者:我孫子武丸 ★★★★☆ たまたま見たひろゆき切り抜きYoutubeでひろゆ …
-
-
感想:探偵の探偵(小説)
2015年7月から北川景子主演でドラマ化されることを,読み終えてから気づきました …
-
-
感想:青い壺
著者:有吉 佐和子 ★★★★☆ 昭和に書かれた昭和の日常の短編集。色々な人の生き …
-
-
感想:世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド
著者:八木 仁平 ★☆☆☆☆ タイトルにだまされたシリーズ。人生のモヤモヤとか書 …
-
-
感想:生命保険のカラクリ
著者:岩瀬 大輔 ★★★☆☆ 一般人が一般人向けにかいた保険の本らしいです。とい …
-
-
感想:持たない幸福論 働きたくない・家族を作らない・お金に縛られない
著者:pha ★★★★☆ 京大卒のニートで有名な著者。熊野寮出身らしいですね。 …
-
-
感想:博士の愛した数式(小説)
著者:小川 洋子 ★★★☆☆ 映画化とかでけっこうな人気だったので,気になってい …
-
-
感想:若い読者のための宗教史
著者:リチャード・ホロウェイ ★★★☆☆ 久々の読書。どうしても家で読む気が起き …
-
-
『重力とは何か』ニュートン,アインシュンタイン,量子力学と物理学の歴史をわかりやすく紹介している良書でもあった
インターステラーという映画内で,重力の謎が解ければ,宇宙の真理を理解でき,地球か …
- PREV
- 【アイギス】森の隠者フィオレが意外と強いかも
- NEXT
- 感想:最強脳