感想:弱者男性1500万人時代
著者:トイアンナ
★★★★☆
10年ほど前に著者のブログを読んで、当時ツイッターでフォローしてた記憶があって、興味があったので読んでみた。
本書でも引用されている、昔読んだ「再貧困女子」を読んだ時と似た辛さを感じた。
筆者が弱者男性へのインタビューを通じて一貫して教わったのは、かれらがほしいものは何よりもまず「理解」であることだ。これまで長らく透明化されてきたかれらは、まず「いないもの」として扱われ、次に「有害」だと誤解される。だが、最大1500万人もいるかれらは、危険な人もそうでない人も混在している「普通のグループ」であることをもっと世の中の人に知られてよい。
トイアンナ. 弱者男性1500万人時代 (pp. 191-192). 株式会社 扶桑社. Kindle Edition.
僕には何もできないが、この本が少しでも支援につながればいいと思った。
内容は、弱者男性の定義から入り、弱者男性の置かれている状況、なぜ弱者になったのか、支援として何をしていくべきかなど、タイトル通りの内容が書かれている。一番の問題定義としては、男女平等が当たり前の時代に、弱者男性だけが透明化され支援の輪から取り残されている現状。女ならかわいそうと共感される場面でも、中年おっさんに置き換えるとそうではなくなる、というのは確かにと思わされることが多い。
男女平等であるべきとは思うが、努力で成り上がったら強者男性になれるアメリカンドリーム的要素のある男性性のほうがいいと個人的には思っている。資本主義が格差を広げるデメリットもあるのと同じで、全てがかなえられる魔法のようなモノはないのだから、どこかで折衷案を見つけていくしかないのだろう。
ただこの前読んだ本によると、結局はすべての事象について遺伝要素が強いため、結局見かけ上は、努力不足、自己責任論を押し付けれるが、その実本人の努力不足が全てでないのが辛いね。大学生の頃ぐらいまでは、配られたカードで戦っていかないと考えていたんだけど、この本で登場する弱者男性もそうだけど、そもそも戦えるカードが配られていないどころか、呪いのカードをもたされてスタートする人も多いという現実を知ったときには、自分の視野の狭さに恥ずかしくなったのを覚えている。
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